女川古民家移築再生の家

【 第9回新民家部門 】

女川古民家移築再生の家

福島県奥会津の金山町にあった築160年程の古民家を解体し、女川町へ移築再生した住宅。移築後の建物は、総予算の関係もあり移築前の規模から4割近く減築した。間取りとしては玄関土間を広くとり、その左手西面エリアと上部2階には、建主奥様がコレクションしている絵本作家の直筆画を展示するスペースを設けた。玄関ホールからリビングは梁の見える吹き抜けのあるパブリックスペースとし、その北側は対面式キッチンとダイニング、西側にはテラス、納戸だったスペースは勝手口や洗面脱衣、ユニットバス、トイレと水まわりをまとめた。もともと家の中心であった仏壇や神棚を置いていた座敷、そして板の間は多目的スペースにして既存の板戸を再利用して仕切っている。床の間や出書院のあった和室は夫婦の寝室とし、隣室にウォークインクローゼットを兼ねた納戸も配置した。黒光りするケヤキの大黒柱などの躯体の他にも板戸、クリの床板、大きな神棚など、可能な限り元の家の材を再利用している。

玄関ホール。玄関床板は移築前の建物の床板として貼られていた栗材を再利用している。板戸や階段も移築前の建物のものをそのまま再利用している。ホール上部は吹抜とし、リビングと玄関を隔てる壁に採光のための窓を設けている。上がり框は新設したものだが、古材の力強い梁と呼応するよう磨丸太で仕上げた。
キッチン・リビング・ダイニング。上部は吹抜空間とし、梁組をあらわしている。薪ストーブにより広い吹抜空間でも暖かく快適に過ごすことが出来る。キッチン部分の床はコルクタイルで仕上げ、清掃性を高め、また床暖房を敷設しているため快適に調理や家事が行える。建具は既存の板戸等を再利用している。
座敷。神棚や建具は既存のものを再利用している。左手の板の間は多目的スペースにして既存の板戸を再利用して仕切っている。

建設地宮城県牡鹿郡女川町
構造伝統構法
階数二階建て
延床面積182.79㎡㎡
家族構成60代夫婦