古民家移築再生の家
【 第6回 新民家部門 】

この再築の住宅は、岩手県奥州市江刺の築125年の古民家に新たな息吹を吹き込み、現代的な表情を兼ね備えた住宅として生まれ変わった『古民家移築再生の家』である。
古民家移築再生には様々なハードルがあるが、古民家を活用できず解体を予定していた元持主様と、移築再生の古民家に住みたいと希望された建主様とが、㈲ササキ設計の民家情報を介してマッチングできたことが、今回の移築再生の大きな一歩であった。
古民家からは、構造材だけでなく、再利用可能な建具も持ち込んだ。建主様は、古く味わいのある物を嗜好されており、建主様が持ち込んだアンティークのガラス戸を組み合わせ、唯一無二のノスタルジックな雰囲気を醸し出している。また、古材の補修・再生を手がけた職人さんいよる手刻みの「しつらえ」が垣間見え、質の高い住空間をつくり上げることができた。
移築再生するためには、古材ひとつひとつに番付(ばんづけ)を行い、木組をほどくように解体をする。その後、新しい間取りに合うように、木材の補充検討を繰り返しながら組み上げ、新たな躯体ができあがる。この作業は、地道で非常に手間がかかるが、無くてはならない作業である。 | |
若いご夫婦とお子さんがより温かい家族の時間を過ごせるよう、基本設計から梁組をみを考慮し古材を生かした設計手法を試みたこの住宅は、伝統工法のつくりが元になっているため、再生後の外観からは想像できないほど、内部には複雑な梁組みが現れる。キッチンおよびリビングダイニングを2階からも見通せ、冬でも暖かく過ごせるよう薪ストーブだけでなく、床暖房も備えた。 | |
再生後の外観。家の前を通りがかっただけでは、内部に、あの武骨な梁がめぐらされていることは、想像しがたい程シンプルな姿にまとめた。 |
建設地 | 宮城県仙台市青葉区 |
構造 | 伝統構法 |
階数 | 二階建て |
延床面積 | 208.02㎡ |
家族構成 | 40代夫婦とお子さん |