伝統工法の移築

【 第6回 新民家部門 】

伝統工法の移築

築62年の田の字型古民家です。一般の住宅でここまで浮須の欅材を構造材として使った古民家も少ないでしょう。この古民家を生かすのは移築しかないと思い今回に至りました。造作材の天井板から出書院まですべてを移築し、再現する所が苦労でした。内法も6尺(1820)まで嵩上げし現代人にも不自由なく過ごしてもらう事。また、伝統工法で現行の建築基準に合わせZEX基準もクリアーしました。冬暖かく夏涼しい家!理想の住宅!正に新民家の完成です。

玄関も欅材一色です。階段まで欅材は珍しいと思います。すべて移築しました。ただし浜縁は解体前の母屋に使ってあった浜縁を再現してみました。お施主様もこんな事出来るんかいな?とおどろかれていました。欄間も古材を持ってきました。使い方と一手間かければ生き返る。伝統資材のポテンシャルの高さに今更ながら脱帽ですね。
和室には壁が必要です。今回は床、仏間、違い棚を天然珪藻土で色を付けてみました。豪華で気品のある仕上がりに成りました。
毎回恒例に成っています、地棟に名を入れて貰います。ご主人に年号や祝いを書いて頂き、最後に奥様の名前を本人に書いて貰いました。お二人とも教員をなされていますが、丸太に字を書くのは初めてで、しかも地棟に書くことすら知らなかったとの事です。大変記念になったと大喜びされていました。

建設地滋賀県長浜市川道町
構造伝統構法
階数二階建て
延床面積236m2㎡
家族構成30代夫婦と60代両親