沖本邸

【 第9回古民家再築部門 】

沖本邸

東京都国分寺市にある昭和7年に建てられた洋館建築沖本邸をカフェ兼住居として利活用するための改修計画。
既存建築物は建築家 川崎忍設計。付随する和館建築は昭和12年に建てられ現在国指定有形文化財への登録申請を行っています。

お施主様が本建物の隣に引っ越してきたことをきっかけに、当時建物に住まわれていた80歳くらいの姉妹の相談や、仕事の紹介、またお施主様の旦那様が医師だったこともあり、頼られるようになり、親交が深まったっていったのち、身寄りのない姉妹からの突然の提案で建物を譲り受ける事となりました。
姉妹より沖本邸に対する思いを聞いていた事もあって、なんとか建物を残しつつ活用することを計画。
カフェ付きの住居として蘇らせました。

改修はカフェ運営の為に厨房設備を整える事を中心に、建物の寿命を伸ばしつつ、改修した事がわからない様に建築物の質を向上させることを目標に計画を行いました。
外観整備は予算との兼合いの中で屋根の葺替えと痛みの激しかった水切のやりかえを行う事で、建物寿命を伸ばし、枠廻りや破風といった建物の見た目のポイントとなる部分の塗装をやりかえることで、くたびれた外観を全体的に清潔感のある印象になるよう設えました。
内装は、新建材が入ってくると違和感があるため、新設する建具や家具はなるべく同素材、同色を基本として、枠廻りや家具のディテールもなるべく模倣してデザインするようにすることで、今回の改修が既存のままに使用されている様な印象になるようにデザインしました。
照明計画は既存建物の良さが引き立つ様に、既存照明の器具のままに間接的照明を各所に追加する事で店内照度を確保し、建物各所を照らし雰囲気のある室内空間を設えました。また、新設照明器具が見えないようなるべく既存のデザインの中に隠れるような納まりとして店内を整えました。

玄関吊り棚とショーケース家具
洋館、和館 外観
和館 奥座敷

建設地東京都国分寺市
構造伝統構法
階数二階建て
延床面積134.7㎡
家族構成非公開