丹木の家

【 第8回古民家再築部門 】

丹木の家

令和元年秋に初めて丹木の家を見たとき、あまりの経年劣化が進み唖然とした思いを感じた。
部屋の床は一部抜け落ち、柱は歪み上を見上げた天井板が外れ、なんと空が見えていた。
屋根材の劣化も進み雨漏りは酷く、屋根の一部にブルーシートが張られている状態であった。
そしてこの建物を再生してもらいたいとの強いお施主様の希望があり、元年秋より設計に着手し令和2年1月に工事契約を交わし着工した。
極力古材を生かし再生してもらいたいとの希望があり、足固め・柱の一部・小屋材等は新規取り替えとした。

こだわりの場所
各室天井の収まり
中廊下及びキッチンは杉板を貼り、10畳間と玄関ホールは既存素材を生かした一見煤竹に見える踏天井は海布丸太を使用してあり、煤で古色を帯び今は味わい深い仕上がりになっている。
特に梁組は古民家の命の様なものであり、古材の良さを留めるものとした。
明治末期に父が建てた家。
60年ほど前に麦わら屋根からトタン屋根にリフォームしましたが、台風で雨漏れするようになってしまい、その後使用せずブルーシートをかけたままで放置していました。

周りの人たちからは解体するように勧められましたが、初代からの歴史が詰まった建物ですので何としても残したかったのです。
そこで古民家再生協会さんに調査していただき再生することにしました。

当初からの柱、梁を活かし、再築基準により耐震補強を行い最新の建物になりました。
ご近所さんもこの変身ぶりに驚いています。

コロナによりなかなか人を呼べませんが、早く多くの人に集まってもらいたいです。
私はそこまで生きられませんが、100年後も使っていける建物になったと思っています。

建設地東京都八王子市丹木町
構造伝統構法
階数平屋
延床面積87.85㎡
家族構成非公開