明治から令和へ 想いを住み継ぐ

【 第8回古民家再築部門 】

明治から令和へ 想いを住み継ぐ

福島県喜多方市の築150年を超える古民家。
ここに住む多くの家族の歴史を見守ってきました。この家を代々大切に受け継いできたお客様は、ご夫婦とご高齢の母の3人暮らし。
お母様は「ここを離れたくない」と歴史ある我が家に強い愛着がありました。
これまで何度か水廻りや室内を改修して維持をされてきましたが、ご夫婦も年齢を重ねて「もっと快適に暮らしたい」という思いが強くなり、大規模なリノベーションを決断されました。

改修するにあたり現状の建物の状況を確認する為、古民家再生総合調査を実施。
このお宅が改修工事に適した建物であると判断し、構造体を生かして耐震と断熱を兼ね備えた、そして、バリアフリーで安全・安心・快適に暮らせるリノベーションをご提案。先祖から引き継いだ家を更に快適で次の世代に引き継ぐための協同作業が始まりました。

旦那様の長年の夢であった薪ストーブをLDKに導入し、寒さの厳しい雪国でも柔らかい暖かさのある快適な空間となりました。テレビカウンターは旦那様が長年大事に保管していた歴史のある無垢材を利用し、お客様にとってとても愛着のある空間になりました。
段差が大きくて上がるのが大変だった中2階の寝室空間は解体し。南側の陽の当たる空間に新たに夫婦の寝室を設け、自然の暖かさの中で生活ができるようにしています。
玄関から続く客間は、昔からの間取りを崩さずにご近所の方やお友達とゆっくりとおしゃべりを楽しめるように独立した空間になっています。
床板は無垢材を使用し、木の温かみのある新旧が調和した空間となりました。
外観は、今までの雰囲気を残しつつ付け柱や鎧張りで、あたたかなイメージに仕上げました。

LDKは南北に広々、古民家ならではの夏は風が通り抜ける涼しい空間に。子供家族が来てもみんなで同じ空間を共有することができます。
大梁の見える高さで天井高さを調整し、薪ストーブの暖かさを家全体へ届けるように天井にはファンを取付。
窓辺にゆったり座りながら、のんびりと薪ストーブの炎を眺めるのが、旦那様の日々の楽しみになったそうです。
玄関を入ると正面には昔のまま残した立派な鴨居の太鼓張り障子戸でお出迎え。
玄関ホールも以前と同じように広い空間とし、寒い冬の時期でも観葉植物を置いたり今までの生活スタイルを崩さずに生活できます。
その先に独立した客間空間でお友達やご近所の方とのゆったりくつろげる空間が広がります。
寝室にはロフト空間を設け、お孫さんが遊んだり泊まったりできるようにしています。
梁が高いと埃の掃除が大変だからと、天井を高くして梁を見せるのを躊躇っていたお客様。ロフト空間にすることにより梁のメンテナンスもしやすく、そして直に家を支えている梁にふれることができるようにしています。

建設地福島県喜多方市
構造伝統構法
階数平屋
延床面積232.46㎡
家族構成70代夫婦と90代母