たどり着いた家

【 第8回古民家再築部門 】

たどり着いた家

いつか古民家で暮らしたい。


長年大工職人として住まいづくりにかかわってきたからこそ、日本古来から守られてきた高い技術の素晴らしさを後世に残していきたいと考えるようになったOさん。
10年かけて住まい探しをし、この建物に出会いました。

購入したときには傷みも激しく、本当に住めるようになるのか?不安な中での施工開始。

まずは全国伝統耐震評価連合会の実施する、伝統耐震診断を行いました。
大工をしてきたからこそ、建物の耐震性を高めることは必須と考え、工事前、工事中、工事後と、何度も耐震性を確認しながらの施工になりました。



診断士の意識の高さに驚かされたとOさんは言います。

「この古民家をどうすれば活かしていけるのか、何度も相談を重ね、構造や断熱性能を高めること、
快適な暮らしのための改修方法を提案してもらったことが嬉しかった」


今回の診断士との出会いがきっかけで、Oさん自身も「古民家鑑定士」「伝統再築士」の資格を取得。
経験だけではなく、学んだことを存分に生かして施工は進みます。





安全性を考え、階段の勾配も緩やかに。
既存の構造を活かし、ゆとりのある空間に。
これまでこの家を支えてきた梁を見せ、ダイナミックな意匠になりました。




自分の家は自分で愛着を持って施工したい。
腐食した柱の「金輪継ぎ」も今回初チャレンジです。

木部の塗装や組子の手すりなども自らが施工にチャレンジし、
愛情たっぷりに、心を込めた施工となりました。


古民家の暗さを怖がっていた子供さんのために、採光にもこだわりました。
設置場所にこだわった窓からは、太陽の光が燦々と降り注ぎます。



昔の水廻りだった場所にはカフェスペースに。
床暖房のおかげで土間の部分もポカポカです。

子供たちが裸足で遊ぶ姿を見ながら、ママたちはカフェでほっこり。笑顔があふれる空間です。


新居の暖かなリビングで家族一緒に東京オリンピックを観戦したい・・・
そんな想いで施工を進めてきました。

幸いオリンピックは延期になり、無事入居は間に合いました。

広々とした空間で、家族団欒。
思い描いた暮らしが始まります。


先人の技術と快適さを追求した現代の性能、
古民家の優しさと、最先端の技術を融合させ、
未来へ続く理想の住まい。

ようやくたどり着いたようです。

建設地京都府城陽市
構造伝統構法
階数二階建て
延床面積178.5㎡
家族構成40代夫婦と子どもひとり