夢創の家
【 第8回古民家再築部門 】
築53年の古民家を企業のゲストハウスにリノベーション。「世界のバイヤーや全国からのお客様に向けて」木の国・山の国である岐阜県の雰囲気が伝わるよう、東濃ヒノキなど県産材を利用し、美濃の山から採った岩で滝や小川を作り、竹を割いて天井の釘にし、材料・デザインともに、「小さな岐阜県」を表現しました。
棟に使ってあったのは15mの大梁。どうやって運んだのか、一種のミステリーです。この木をゴミにしなくてよかったです。2階は子供部屋になっていましたが、小屋組と木材の迫力を見せるために天井を1・2階とも抜きました。構造上弱くなる部分には全国古民家再生協会の制震ダンパーや耐震面格子を組み込み、伝統再築士による耐震改修を同時に行っています。 | |
鉄砲梁あらわしの平屋部分。昔はリビングキッチンだったところを玄関ホールにしました。曲面の中の壁には会社と一族の歴史年表がえがかれています。しっくい壁の中には制震ダンパーが入り、家の強度を支えています。 | |
実はこの家を取り壊そうと思っていたんです。母がなくなり、父も入院して空き家になっていましたから。それで父に伝えたら、黙ってしまった。そうしたらクーカンの吉田君が「この家なら丈夫に遺せますよ。そして、世界の人は日本の伝統建築にあこがれを持っています。新築はもったいない」という。では任せたと工事が始まったら、滝を作るという。それを父が喜んでね。ちょうど俺の夢に出てきたんだと。駐車場にでもしようと思っていたら全然違う話になった。 しかし出来上がって、こんな田舎に一日1000人以上のお客さんが訪れるようになった。うれしくて金魚を買ってきましたよ。小さな子が全然帰らない、大人も庭を見ながらサーバーのコーヒーを飲んでいつまでも楽しそうです。 それで2階の吹き抜けに企画戦略室を作りました。大きな窓から風にそよぐ木が見え、お客さんまで入ってくる。大事なことは全部ここで決めようと思って。すごいパワーですよね。私はやたら運がいいと思いますよ。先祖と両親が積んだ徳の恩恵でしょうね。 |
建設地 | 岐阜県安八郡安八町 |
構造 | 伝統構法 |
階数 | 二階建て |
延床面積 | 307.84㎡㎡ |
家族構成 | 企業のゲストハウス |