「木と暮らす」 ~牛舎からの再築~
【 第4回 古民家再築部門 】
施主様のこだわりは、集える場所・趣味を楽しめる場所・知人のミニコンサートを開催出来るような、母屋から離れたもう一つのリビング。
ここは戦前から乳牛が飼われていた牛舎で、40年程前から使われずにいた小屋だとお聞きしました。施主様と建築仲間で、「集う」をテーマに梁・柱・木戸・牛乳缶・水飲み・わら置場など活かしつつ再築いたしました。
この建築は1人のデザインではありません。施主様の思いを聞き取った、大工・左官・建具士・鉄士・庭師・設備士・塗装士が自由な発想と確かな技術を集結させ、もう一度建物に息吹を吹込むことが出来ました。
(Photo Katuji Ishii)
中央部分は、牛の間仕切柱を活かしテーブルの脚とし。昔のわら置場へと昇る階段はアイアンで造り込み、手すりの曲線を美しく。和のイメージで見栄えのするニッチも完成。柱にあった水飲み場もそのままに良いアクセントになりました。 嫁いだおば様達の憩う場所、小さな音楽会、落語や舞踊など行われる遊び心たくさんの唯一無二の空間として使用されています。 |
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古き木戸に残る文字は、亡きお父様が愛情を注いだ牛たちの成長の記録だそうです。 建物を支えてきた柱全てを一度引き揚げ、基礎から耐震を補強。無垢床には、全面床暖房を敷き足元から快適に。陽の光と風を取込む窓を配置。 丸窓障子を開けると、常緑樹の「灰の木」が見える中庭があります。 |
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入口の障子をキャスター付折戸にひと工夫、イベント時に控室として使用される空間の衝立としても役割を果たします。 「夜の雰囲気が一段と好きなんです。」 ニッチや棚に素敵に収まった趣味であるたくさんの小物を眺めながら、私たちに話してくださいました。 |
建設地 | 千葉県八千代市 |
構造 | 在来工法 |
階数 | 平屋 |
延床面積 | 65㎡ |
家族構成 | 「非公開」 |