築100年超、東京都心狭小民家

【 第3回 古民家再築部門 】

築100年超、東京都心狭小民家

関東大震災(大正12年)、東京大空襲(昭和20年)、近隣地域の大火災(昭和27年)、東日本大震災(平成23年)を乗り越えた、築100年を超えて東京都心に残る非常に珍しい狭小民家です。
昭和バブル期には地上げに合い、再開発により、街並みは一変しました。
このような木造、外壁板張り、木製建具の民家は、法規制や用途地域の関係から、現在都心では新築で建てることができず、「再築」でしか実現できないものです。
かつては街並みの一部であったこの民家は、残ることで、未来に大正・昭和戦前の面影を伝えます。
再築後、近隣の人々からの反響を受けて、建主は今後、落語会などの催しを行うなど、広く地域に開放していくことを考えているようです。

再開発により、この民家の周囲には、高層建築物が立ち上りました。
日照は望めなくなり、冬の寒さは厳しいですが、夏は都心にありながら木陰の涼しさです。
既存建物の耐震性能は現行基準法では1/10以下でしたが、置石におかれただけの建物であったため、地震力が建物に作用せず、二度の大震災においても倒壊しませんでした。
床は抜けていましたが、骨組みは比較的状態が良く、そのまま使用しています。
昭和の時代に施された修繕箇所は、すべて取り除き、新築当初の良さを確認した上で、空間の質を高めるために、外壁や庭、塀、照明計画などを行いました。
大正2年につくられたであろう、今では珍しい木製建具を修理して再利用しています。
ガラスは製造方法が変わってしまったため、この建物で使われている(残っていた)ガラスは、現在では入手できません。

建設地東京都文京区
構造在来工法
階数二階建て
延床面積64.46㎡
家族構成50代夫婦
会社名