150年の時を経て蘇る大和棟古民家

【 古民家再築部門 】

150年の時を経て蘇る大和棟古民家

奈良県宇陀市の山奥にある空き家となっていた古民家。奈良県の古民家で見られる「大和棟」という造りで、切妻の萱葺と両妻及び棟が瓦葺の組み合わせが印象的な造りとなっています。最近では数少なくなってきている「大和棟」を後世に残していくために、萱葺共復旧しました。夕暮れ時には茅葺屋根が黄金色に輝き一昔前のなつかしいさを感じられる建物になっています。この建物は宿泊施設へと生まれ変わり、たくさんの人に古き良き古民家の良さを体感してもらえる施設になりました。

元々キッチンとして使用していた場所を共用の食事スペースへ。天井を撤去して吹き抜けにし、元々の土壁や梁をむき出しにしました。柱が腐っていたり、リフォームの際に梁が撤去されていたりして構造に不安があった為、柱を新規で交換し梁も増やして補強しなおしました。その際に使用した梁は愛知県から持ってきた古材を使用。古材を使用することで、元の雰囲気を壊すことなくデザイン的にもマッチした仕上がりになりました。
客室の風呂は桧貼りにし、浴槽、手洗器は信楽焼で焼いてもらった物を使用。桧の香りが漂い、癒しの空間となっています。
手洗器のカウンターは、この家の倉庫に眠っていた欅の一枚板を製材加工して利用し、建具も解体時に出たものを加工、洗い、調整をして再利用。
使えるものは全て再利用することで、雰囲気も壊すことなく、コストダウン、脱炭素にも貢献できます。
蔵や倉庫になっていたところも客室として使用し、屋根や壁は土壁や梁をそのままむき出しにして素材の良さ、長い年月を経てできる素材の味をそのまま体感してもらえる空間に。
2階部分は天井や梁が低いですが、秘密基地のような空間で楽しく過ごすことができ、普段触ることができない大きな梁を間近で見て迫力を体感できます。

建設地奈良県宇陀市榛原八滝1835番地
構造伝統構法
階数平屋
延床面積481.98㎡
家族構成非公開