STUBBORN HOUSE

【 第9回新民家部門 】

STUBBORN HOUSE

リビング。
従前の古民家の作る枠組みの中で、吹き抜けと施主こだわりの床材が男性的になりがちな古材の空間を優しく開放的に感じさせてくれます。
また玄関から、直線で繋がるリビングから見える庭には、玄関石のモニュメント、玄関までのスロープに使われた清武石で出来た塀を見ることが出来ます。
建具も、施主様のコレクションを利用したものや、引き戸を再生、利用することでリビングであるとともに、アートギャラリーの雰囲気を感じます。

玄関。
清武石のアプローチから、施主様のコレクションの蔵戸を開けると玄関の吹き抜けに見えるのは枝分かれした一本で出来た大黒柱。
枝分けれした古材が、まるで家全体を両腕で支えてくれているような印象を出してくれています。
また、玄関からリビングへ続く扉にもコレクションの蔵戸を利用して直線的な動線の先へのワクワク感を出してくれています。
そして玄関から上がってすぐに畳を敷くことで壮大な大黒柱を見上げながらも、足元のやさしさを感じながらリビングへの蔵戸を開けることが出来ます。
さらに玄関には施主様の子どもさんたちのトロフィーなどが飾られ、家族の成功や成長を感じられる空間にもなっていて、吹き抜けの先の2階からは家族の帰りを確認することもできます。
外観。
工事中からも、全面道路を通り過ぎる方々が外観に突き出した古材の数々に目を奪われていたと言われる様に、立派な古材の数々を確認できます。
外壁の色を白で統一して、古材の色を際立たせています。
二階の軒先まで続く古材を見上げると、巨木の先に青い空が見えるような清々しい気持ちにさせてくれます。
施主様の経営する焼肉店のタレの工場と販売所も併設しているため、遠くからでも「SUTABBORN HOUSE」が分かるように古材が導いてくれます。
STUBBORN HOUSE
元々は、経営する焼肉屋の宮崎の名店「しもふり亭」を拡大したいという相談から、コロナ禍で持ち帰りや通信販売のために焼肉のたれを販売、製造できる自宅兼工場を作ることから始まりました。タイトルの「STUBBORN」はその焼肉店のタレのブランド名。
工事に関しては知人や多数の工務店にも相談しながらも最終的には、施主様の考えや想いを全て受け止めてくれた弊社に全てを任せてくれました。
古材の選定では、県内を探しながらも全国のネットワークを利用し最終的には新潟県上越市の築170年の旧農家の空き家の古材を見つけ出し3度も確認し決定しました。
運送には大型トラック2台分を使い、古材を解体をしてくれた大工を宮崎まで招待して棟上げしました。
施主の岡崎さんは「リビングや玄関で黒光りする柱や梁が醸し出す重厚感は圧倒的で、優しくまるで昔からずっと見守られているよう。古材を特に多く見られるリビングは落ち着くので家族全員が自然とリビングに集まります。聞いていた通り古材の強さは素晴らしくて、押しピンは古材が硬くて刺さりません笑。将来の子供達にも残すことが出来る貴重な財産を作ることが出来ました」ととても嬉しそうに話してくれました。
ケヤキやマツの古材は樹齢が推定200年以上で貴重なものばかりで、なかなか新材で購入しようとしても高価で手に入りにくいと思います。
施主様がこれまでにコレクションしてきた蔵戸やアンティーク建具、家具などを利用し古材との調和した空間は、まるで現代アートの様な作品として完成しました。
古材は男性的で暗いイメージも女性にはある様ですが、空間や導線計画を上手く利用することで、アーティスティックかつサステイナブルな住宅作品が完成しました。

建設地宮崎県宮崎市波島町
構造在来工法
階数二階建て
延床面積172.71㎡
家族構成40代夫婦と子供2人、秋田犬二匹。