土蔵に住まう
【 第8回古民家再築部門 】

伝統的な蔵造りの力強さをそのままに、現代的な住宅へ。大阪市内にある築約100年のこの蔵は30センチ以上の厚みを持つ土壁に守られた立派な土蔵だった。長年、単なる物置としてほとんど使われていなかったが、娘さんの為に蔵を再生したいという施主の強い想いで再築することとなった。設計段階では、暗い内部にトップライトを設けて採光し、木組みの美しさや、土蔵の歴史を感じられる2階部分にLDKを配置した。木組みはどの梁や柱も大きく力強い木材だったが、所々白蟻被害や雨漏りで土壁とともに崩れている腐食部があり、さらに全体で10センチ以上も傾いていて、そのままでは到底使える状態ではなかった。工事は揚屋をして建物を水平に戻し、土台を補強するところから始まった。蔵の元の姿をなるべく保ちながら、補強や修復をし、そして新たに住まいとして進化させる過程は容易ではなく、施主、設計、現場監督、職人が一体となって建物との対話を繰り返した。
建設地 | 大阪府大阪市生野区 |
構造 | 伝統構法 |
階数 | 二階建て |
延床面積 | 121.4㎡ |
家族構成 | 60代夫婦 20代娘 |
[thankyou]