よろぎの家

【 第10回古民家再築部門 】

よろぎの家

兵庫県三木市の市街地を北に抜けて志染川(しじみがわ)に掛かる橋を渡ると、その一角に与呂木の集落がある。
「よろぎの家」は、志染川との間には田畑だけが広がり、南向きのこの家からは三木市の住宅街や神戸電鉄等市街地が一望できる。
築66年のこの家は、お施主様のお祖父様が建てられ、お父様が若くして逝かれたのでお祖父様から直接相続されたお住まいです。
再築にあたり、お施主様からのご希望は、
1)暮らしやすい空間
2)こどもの自立を促す空間
3)お祖父様の想いと私達令和の家族の現代的なデザイン
4)陽当たりと断熱性の良い家
です。
コンセプト:お祖父様とお施主様ご家族の想いの融合と、南側の三木市街地眺望、陽当たり及び断熱性を向上させる。
      飽きない(陳腐化しない)デザイン。
対策:
2階の減築により吹き抜けの縦の大空間を生み、その空間から南側の陽差しで室内北側部分に明るさを確保させる。
その吹き抜けを通路を渡す。その渡り廊下からの南側の眺望も期待する。
この大空間を彩る鉄製の階段と手摺の黒色が空間を引き締める。
また、内部解体時に発見した2階の迫力ある丸太梁にはお祖父様の想いが込められており、
この丸太梁は塗装してデザインに取り入れる。
大黒柱、玄関の格天井、和室も再生に組込、お祖父様が誂えられた建具も一部再利用する。
一方、家族個室でプライバシーを確保することができ、こども達の自立を促す。
外気に接する部分には、可能な限り断熱材の充填をする。



減築によりできた吹き抜けの大空間を南北両方より臨む。
どちらにも大きな開口部があり明るさ及び風通しも良い。
また、黒色の鉄階段と再生された丸太梁がより空間を大きく見せ
開放的な空間となっています。
玄関ホールに再生された格天井が美しく映えます。
また、渡り廊下から見る再生梁は太く、幾重にも重なり
お祖父様の想いがまさに感じられるところです。
大黒柱を中心に、玄関ホールからリビングへの入り口引き戸と左手ダイニング側の飾り格子(組み子)入り窓、これもお祖父様が誂えられた
建具です。その引戸を開けると再生梁と鉄階段の大空間が広がるのです。



お施主様の声:吹き抜けの広々としたリビング、そこから見上げた時の今ではなかなか無い堂々とした梁が自慢です!
       その空間に祖父が誂えた建具と、モダンな鉄階段が絶妙にマッチしています!

建設地兵庫県三木市与呂木
構造在来工法
階数二階建て
延床面積176.58㎡㎡
家族構成ご夫妻と赤ちゃん