時を越え、つなぐ住まい

【 第10回古民家再築部門 】

時を越え、つなぐ住まい

”つなぐ”住まいの物語はお施主様のご先祖様を想う気持ちと、古くて良いものを残したいという想いから始まりました。
こちらの住まいは、お施主様の祖父が44歳の時に建てられ築56年。元は縁側があり昔の田の字型の家でした。
親族が集いやすく、家族が暮らしを楽しめる家として残す選択をされ、お施主様が44歳で再築。
新しい生活動線、アイランドキッチンやストリップ階段、
薪ストーブなど新たな機能を充実させ、空間と居住性の向上。
現代の建築手法を柔軟に取り入れ
44年後には築100年。
古民家らしく。あたらしく次世代へ”つなぐ”住まいへ。

元は別の場所にあった仏間、床の間をそのまま手ばらしで丁寧に解体し、
すべて新しいサイズに加工しなおして新しい場所に移動しました。
お施主様の想いを職人の手で形に。
古めかしくならないよう、リビングとつながる建具をあけた時にも
空間に解け合うようにと造りました。
リビングの床板は元々使ってあった床板をはいで加工しなおして、床に再利用しています。
床板を加工する際、お子様が小さい時に貼ったであろうシールが残っていたので
「シールはがしておきますねー!」と、お伝えしたら
「それも想い出だからそのまま残しといていいよ。」と、
再築ならではの心温まるエピソードも。
建具はすべて元からあるものを加工しなおし再利用しています。
玄関からリビングに入る建具も、和室、納戸、お手洗い、
寝室への扉もすべて建具を再利用したもの。
リビング横の縁側だった所から続くウォークインクローゼットへの入り口は
母屋横の納屋にあった板戸を使用しています。
言葉では言い表せない程、心を動かされる雰囲気を
演出してくれています。

建設地熊本県菊池市泗水町
構造伝統構法
階数二階建て
延床面積184.99㎡
家族構成40代夫婦とお子様3人