千木テラス

【 第10回古民家再築部門 】

千木テラス

天照大神の岩隠れ神話の残る高千穂町の伝統的な古民家「千木の家」を移築再生し、宿泊施設「千木テラス」として生まれ変わりました。

もともとは高千穂町が推定120年の古民家を減築して、駅前に保存していたものです。

解体予定でしたが、町民の反対で保存先を探していたものを貰い受け、農林水産省の「農山漁村振興交付金」を利用し、移築先の新富町の厚意で、廃校になった「上新田(かみにゅうた)小学校」跡地へ移築、再生をさせていただきました。

新型コロナウィルスの影響などでオープンが遅れましたが、ようやくオープンすることが出来ました。
今後、敷地の周囲の庭も整備していく予定です。

ちなみに「千木」とは、神社の屋根にのみ特徴的にみられる屋根の両端で交叉させた部材で、現在では神社の聖性を象徴するものとなっていて、まさに神聖な古民家です。

まずは「千木」と共にこの建物のシンボルとなる、「茅葺き屋根」を残すことに拘りました。
九州地区には茅葺きを専門で行う業者は一件しかなく、業者に依頼すると予算的にも難しかったので茅葺きに詳しい全国古民家再生協会の仲間の協力を仰ぎながら完成させることが出来ました。
茅も4割を再利用し、古代からのサステナブルな建築を体験することが出来ました。
ちなみに使わなくなった茅は、田畑の肥料としていたそうです。
古代建築の施工・補修を行い、部材や建具、囲炉裏はそのままで自在鉤もあるので、古来の日常を感じていただくことが出来ます。
宿泊施設のため、水回りがなかったので増築しました。
増築部分の外壁は、宮崎県産の飫肥杉を使いバーナーで焼いて、伝統工法の「焼杉」にしました。
「焼杉」にすることで、耐久性が増し、またご覧いただくと分かるように独特の焼き焦がした表面はデザインとしても優れていて、ぜひ来館の際はご覧いただきたいポイントでもあります。

建設地宮崎県児湯郡新富町大字新田16416番地1(上新田小学校跡地)
構造伝統構法
階数平屋
延床面積85.31㎡
家族構成宿泊施設