ずっと京町家

【 第10回古民家再築部門 】

ずっと京町家

年々数を減らす京町家を残す・受け継ぐ為にはどうすればいいのか。
お施主様のこんな思いを受けて、古く朽ちていくのをただ待っているだけの京町家をこの先もずっと残してく為に3つの視点で提案した。
まず第一に耐震。
構造的な改修をせずに表面だけ改修しても建物の寿命はいずれやって来くるので、伝統工法の京町家をこれからも安心して受け継ぐ為に、制震ダンパー等を用いて構造補強を行い、これからも続く安心を。
次に伝統的な意匠。
構造的な改修の他にも京町家ならではの意匠を守ることは大切な要素だと考え、高度成長期によく見られたモルタルのかけ落しにリフォームされていた外観を格子窓や漆喰壁などを再施工して古くからの町屋の意匠を受け継ぐ。
そして時代に合わせて変化する。
いくら古い物や伝統を守ると言っても現役世代の生活スタイルに合わなければ住居としての魅力はなくなるので、時代に合わせて変えていくべき所は変えて行く。
こんな風に、住む人と造り手が伝統を守りつつ、時代に合わせて変化しながら受け継いで行く文化が根付けばと言う思いを込めた。

京町家ならではの「通り土間」は今の生活スタイルには合わない面が多く、思い切って玄関土間部屋に。
テーブルとイスを置いてご近所さんと井戸端カフェしたり、小さなお子さんの遊び場にしたり、自転車置き場やベビーカー置場等「内でもなく外でもない」住む人に合わせた使い方を。
リビングは縁側の雪見障子と火袋だった吹抜けから、京町家独特のやわらかい光の取り入れ方を継承しつつ、現在の生活スタイルに合わせたLDK式に。
断熱改修も行い省エネにも配慮した。
雪見障子越しに覗くと庭が見える。受け継ぐべき日本の文化です。
和室はもっとシンプルに。
和室自体が不要になりつつある今の生活スタイルでは、違い棚よりTVボード。
床の間は落し掛けや天袋、天井さえも無くして、床柱と地板だけあればいい。

建設地京都府京都市伏見区淀木津町
構造伝統構法
階数二階建て
延床面積99.77㎡
家族構成非公開