古きものに次世代の付加価値を_地方都市における空き家の店舗化活用モデル提案
【 第10回古民家再築部門 】

ご両親から相続した空き家を整理していく過程で当社(仏壇店)にご依頼いただくことの多い“仏壇じまい”。空き家を整理していくには、仏壇だけでなく、不動産や建築、遺品整理、登記、相続など様々な各方面のプロに依頼しなければ整理していく事が困難です。そのようなお困りごとをワンストップで解決する窓口として、“空き家の総合相談窓口「築古stock(ちくふるストック)」”を三重県鈴鹿市に2023年4月14日オープンしました。空き家であった築80年の古民家をリノベーションした相談窓口です。店内には、古着・古本・雑貨を扱う「古着屋」と「間貸しキッチン」も併設しています。
店内には、現代のライフスタイルに合わせ、インテリアに組み込んだ“造り付け仏壇”の供養提案も行っています。実家にある大型の仏壇を処分した後、手元に残された“仏像や位牌の安置先”としてのモダン仏壇です。旧・床の間の一角に格子状の棚を製作し、モデル展示を行いました。造り付け仏壇の内装モデル提案は三重県初の取り組みとなります。
当社の仏壇店が創業した鈴鹿市神戸地区は伊勢街道の城下町・宿場町として発展した伝統的な古い街並みが現在でも残っている地域です。しかし、近年、後継ぎが途絶えたり、老人ホームへ入居した事を機に空き家となった住宅や商店が増加し続けています。伝統的な大工技術を駆使した魅力的な民家であったとしても築年数 25 年以上経過すれば不動産価値はゼロとなります。解体費や固定資産税の負担を考えればマイナスの資産です。地方都市であるからこそ借り手が付かない古民家の行く末は、“解体する”、“放置する”といった数少ない選択肢しか残されていません。思い入れのある我が家であるはずなのに、 建築的にも魅力的な古民家であるはずなのに、不動産価値の指標だけで後ろ向きの選択肢しか残されていない事に疑問を感じます。そこで、当社は、地方都市だからこそ成り立つ、不動産価値マイナスの古民家に付加価値を生み出す「店舗化活用のモデル」についても、店内に組み込んだ「古着屋」と「間貸しキッチン」を通して提案していきます。
「間貸しキッチン」については、古民家でカフェや飲食店をいずれ開業したいという夢がある方や古民家での飲食店開業に向けて商品のテストマーケティングをしてみたい方を利用者として募集しています。空き家や古民家の利活用を促すためのお試しの場として運営しています。
将来的には、伊勢街道沿いのエリアを中心に、空き家古民家の所有者と物販・飲食 店を志す若者とをマッチングさせ、店舗化による古民家再生リノベーション、伊勢街道の活性化=街づくりを最終目的としています。
建設地 | 三重県鈴鹿市神戸 |
構造 | 在来工法 |
階数 | 平屋 |
延床面積 | 71.74㎡ |
家族構成 | 空き家の相談窓口、間貸しキッチン、古着屋 |