100年後は古民家の家

【 新民家部門 】

100年後は古民家の家

閑静な住宅街、昔からある団地にこの家は建ちました。丘の途中にあるのでみはらしが良く、風通しもいいのでとても心地の良い場所です。
角地の敷地で、一方の面する道路は勾配がきつく、大きな高低差がありました。
建物と庭はレベルの高い方に合わせて建て、駐車場はレベルを低くすることで、西側に車を止めても眺めの良さを妨げません。駐車場からは階段を設置し、庭に上がれるようにしました。

構造は伝統工法の粘り強いしなやかな強さが十分に発揮できるように、木材は無垢材を使い、壁はすべて土壁です。
柱は桧で、通し柱は180㎜×180㎜、管柱は120㎜×120㎜を使い、梁の一部は地松の丸太を使用しています。木材の加工は全行程、大工による手刻みです。
土壁は、まず竹を細く割り、棕櫚縄を使ってえつりをかいて、「竹木舞」にします。それに、土とワラスサを混ぜて発酵させた「荒壁」を付け、「大直し」「中塗り」と塗り進められ仕上げます。3工程を経て土をしっかりと乾かすことで、土の詰まった強い土壁になります。
荒壁付けの作業ではお施主様にもご参加いただき、楽しい良い思い出になったと大変喜ばれました。

■表しの丸太梁と大きな木の窓
リビング・ダイニング・キッチンは一部屋にして、丸太の梁や母屋は表しに、天井板は屋根の勾配に沿って張ったことで、天井を高く感じられるようにしました。
そこへ大きな木の窓を設置することにより、さらに開放的で明るい空間になりました。木の窓は部屋全体の温かな木の風合いを崩すことなく、窓を作ることができるのが良いところです。
引込みの窓になっているので、開け放つと部屋とウッドデッキと庭が一体となるほどの大開口になります。部屋の中と外がそれによってつながるのです。
またキッチンからも、リビングからも、ダイニングからも、外で遊ぶ子供たちを見守ることができます。
■つながる和室
1階には和室が2部屋あります。リビングに近い6帖の和室は3本引込みの木製建具がつけられ、引き込むとリビングとゆるりとつながり、キッチンからの視線も届きます。
南向きの廊下にも面していて、そこに設けられた窓からの光が和室に入ります。木製建具は縦格子の障子のため、閉めていても光を十分に取り込むことができます。
もうひとつの和室は4.5帖の仏間です。南は掃出し窓、西には中窓を取り付けたことで、とても明るいお部屋になりました。
■落ち着いた玄関
玄関は北東にあり、道路から4段ステップをあがって入ります。
ポーチは木で囲み、玄関先で立ち話も気兼ねなくできる、落ち着いた玄関になりました。
また、一部を袖壁にすることで、明るく風通しを良くする役割と、すぐ横の窓や給湯器などの目隠しの役割も担っています。

伝統工法で建てられた家は、地震や災害にも耐え、ながく住み続けられることでしょう。
和室や障子など和の雰囲気と、黒の板金外壁や大きなガラスの木の窓など洋の雰囲気を兼ね備えた、和モダンな新築住宅です。

建設地三重県四日市市
構造伝統構法
階数二階建て
延床面積114.28㎡
家族構成非公開