つなぎの里 東土蔵再生

【 古民家再築部門 】

つなぎの里 東土蔵再生

静岡県浜松市東区和田町の旧東海道を入った住宅地内の敷地約700坪に、古いもので約190 年前の古民家1棟、離れ1棟と土蔵が2棟あります。 代々受け継がれてきた貴重な財産としての古民家を負の遺産としないように、 活用しながら日本の大切な伝統文化として後世に引き継いでいくことを目的とした プロジェクトです。

このプロジェクトは、日本の伝統文化である古民家を活用していくことによって、 古を未来につなげるために人が集い交わり、伝え、楽しみ、癒される、そんな場所に したいと「つなぎの里」プロジェクトと名付けました。

そしてそのファーストステップとして、附属する2つの蔵のうちの一つ「東の蔵」を カフェとして活用することとし、平成31 年4 月30 日に再生工事が完了しました。

2階カフェスペース部分の天井に見えている野地板は半分は地元の新しい天竜桧で修繕し、半分は既存のままです。

2階床組、小屋組構造の補強については
正面奥の東面が白木となっている躯体部分は母屋を支える登り梁、牛木丸太と天秤丸太も腐食もありましたので内側に同じ構造を新材で創り既存柱部分と両地獄ホゾを創り連結して
躯体の補強とさせていただきました。
材料は全て地元天竜桧の天然乾燥材を使っています。

外部東側壁の土壁は屋根をすべて既存瓦で葺き替えした時に出た土を再利用して修繕もしています。

内部壁は約190年前のままで、 漆喰も東の壁以外は全てそのまま保存していますので2階カフェスペースの空気感が違って感じられます。
1階店内部分の天井は天竜杉を利用し踏み天井となっています。
店舗入り口の蔵戸は以前ついていたデザインをアレンジしてお客様が使いやすいように上吊りとしてありますので誰でも開け閉めできるようになっています。

1階土台、床組、梁組構造の補強については
店内の真ん中にある軸の大黒柱桧300角に組んであるメインの太い梁も東側の腐食もありましたので補強で新しい梁を入れ込み2階同様に東側全面に新材で創り既存柱部分と両地獄ホゾを創り連結しあります。
土台部分の腐食も東側にありましたので内側4方に基礎を創り、足固めをその基礎に載せ梁背210mmの天然乾燥の桧を使用して4方に足固めを付け、柱に両地獄ホゾ打ち込み留めとし躯体のねじれ起こさない様にしてあります。
改築中に大工さんがお蔵の壁を一枚一枚外していくと、裏に棟札のように記載された板が見つかりました。

天保参年十月十七日

東の蔵は、およそ190年前に建てられたものと改めて確認されました。剥がした板の裏側には当時の大工さんのお名前と完成した日付が記載され、当時の息遣いを感じます

建設地静岡県浜松市東区和田町
構造伝統構法
階数二階建て
延床面積97.04㎡
家族構成非公開