「人生100年時代」蘇った築140年の家で快適に暮らす

【 古民家再築部門 】

「人生100年時代」蘇った築140年の家で快適に暮らす

施主様は60歳以上の5人家族で、築140年の伝統工法部分と、築40年の在来工法の増築部分を合わせて約60坪の平屋住宅にお住まいでした。
新潟県の北部に位置する新発田市にお住まいで、雪国ならではの「寒い」「暗い」「湿気」のお悩みと、度重なるリフォームや増築が原因の「使い勝手が悪い」「大小の段差がある」などのお悩みがありました。
「人生100年時代」と言われている昨今、定年後の人生を快適に暮らしたいのだけれど、代々続いてきたこの家を自分の代で壊して建て替えるということは考えられずに、どうしたらいいのかずっと悩んでこられたそうです。
断熱性能もほとんどなく、冬は底冷えする寒さで、60坪もあるにもかかわらず、6帖一間に家族が集まって過ごしていたそうです。
これらのお悩みを受け止め、こらからまた同じ年月先まで安心して快適に暮らすことができるように、性能向上リフォームをご提案しました。
地面からの湿気を防ぐための防水シートを敷き詰めたあと、防湿コンクリートを打設して、伝統工法の石場建の礎石の周辺にメッシュ筋を配して、新しい基礎と一体化させて足元を固めたり、制振ダンパーで耐震性能を確保したり、硬質ウレタンフォーム30倍発泡を60㎜厚で吹付けて断熱性能を上げるなど、新築と同等以上に性能を上げるリノベーションになりました。
建具を開放しても家中暖かいので、60坪の広さを存分に活用できて、快適に暮らしていますとのことです。

以前は、昔ながらの2間幅の玄関と、農作業から帰ってきたときの入り口が別々の場所にありましたが、新しい玄関は、お客様や家族用の玄関と繋いで、広々とした明るい玄関になりました。
玄関引き戸も、断熱引き戸を使用して、外の寒さをシャットアウトしています。
壁の仕上げは、珪藻土の塗り壁にして、脱臭・調湿効果を高めました。
サッシをLow-Eペアガラスの樹脂サッシに変え、硬質ウレタンフォーム30倍発泡を60㎜吹付けて断熱性能がよくなったので、小間切れで使いづらかった部屋と廊下をまとめて、大空間のLDKにして、家族団らんのスペースをつくりました。
解体時に見つけた、黒光りした立派な曲がり梁を表しにしてはとご提案しましたが、生まれた時から古い家に住んでいるので新しい雰囲気にして欲しいとのご要望で、天井を張ることになりました。
仕上げは自然素材にこだわり、床は無垢のラジアタパイン、壁は珪藻土の塗り壁で仕上げました。
敷地内の別棟でくらしている姪御さんのご家族が毎週末に集まって食事をするそうですが、そんな時もこの広いLDKで楽しい時を過ごすことができます。
代々続いてきたこの古い家を、建て替えずに快適に暮らすにはどうしたらいいのかずっと悩んでいました。
何度もリフォームや増築を繰り返した結果、間取りが小間切れで使いにくい家でしたが、それらをまとめて広々として落ち着く空間にして頂きました。
以前の家は、大きな段差と小さな段差があり、大きな段差は上がり降りのストレスになり、小さな段差は躓きの原因になっていましたが、再築後はそれらが解消され、気持ちの上でもスッキリとしました。
また、断熱性能が上がり、家のどこに行ってもほぼ一定の温度なので、部屋の建具を閉めなくても寒くないので、体に寒さのストレスを感じなくなりました。
茶の間や仏間の天井や、漆塗りの一枚板の建具などもきれいにしてまた使っていただいたので、新しいのに落ち着いた家になりました。
広々として暖かい快適な家になったので、別棟に住む姪の家族の誰かがこの家を引き継いでくれるかもしれないと期待しています。
安心して100歳まで暮らします。

建設地新潟県新発田市松岡
構造伝統構法
階数平屋
延床面積199.09㎡
家族構成60代施主、60代施主兄夫婦、60代施主兄。90代の父親もお住まいでしたが現在亡くなられました。