THE 和 STYLE

【 古民家再築部門 】

THE 和 STYLE

岡山県の東部、西大寺は日本三大奇祭のひとつ、「はだか祭り」で有名なところです。新しい建物と古い建物が混在するこの地で、築60年の古民家に出会ったのは、昨年の冬でした。
まだまだ建物としての価値はあったのですが、建物全体に断熱材が入っておらず、底冷えするほどの寒さ。それに加え、建物が傾いていたため、建具も襖もきちんと閉まりません。当然土壁にも、いたるところに隙間ができ、外気が容赦なく入ってきました。長らく閉め切っていたためでしょうか、小動物の出入りの痕跡もありました。
しかし、悪い所ばかりではありません。2階にまで通された立派な欅の大黒柱や床の間の書院、2階縁側の内手すりなどには現代にない美しさがあり魅了させられました。
先人のこだわりはそのままに、耐震補強と設備を充実させ、時間をかけて魅力的な住まいへと造り替えました。

薄暗い玄関は、幅が1間半。奥行が4尺の寒々とした土間でした。玄関框は昔の建物の特徴でしょうか、40㎝以上の高さがあり、昇降は大変です。しかしここは、4尺と十分な奥行があったため、敷台を設け、段差を解消することができました。
玄関もそうですが、この建物でふんだんに使用したのは、鳥取県八頭郡智頭町の杉材です。寒暖差が大きい気候風土の中で育まれた智頭杉は、木質や淡紅色に染まった心材が美しく、造作材や床材、建具にも使用しました。
明るく、暖かさを出すために、畳敷きにした玄関ホール。壁には漆喰を塗り、空気の洗浄と、無垢材との調和を図りました。
また、壁に組み込まれた小窓は、室内に光と新鮮な空気を取り込むだけではなく、日本家屋ならではの美しさをも表現しています。
二間続きの和室があった2階。ここにも1階同様に縁側があり、そこには時代劇などで見る内手すりが取り付けられていました。赤黒く丸みをおびた手すりからは、長い時を受け継ぎ、ここで過ごした住人達の思いも感じられます。
二間は壁で仕切り、一方は洋室に造り替えました。しかし、この手すりを廃棄することはできず、洋室完成後に再び取り付けました。
新しく、眩しいほどの室内に違和感なく収まった内手すりもまた、先人からの贈り物です。
玄関ホールを一歩中に入ると、和と洋が上手く組み合った広いLDK。
建物の中央に配されたモスグリーンのスチール階段は、この建物のポイントであり、こだわりの一つです。孤立していたキッチンは家族が見渡せるようにと前面に配し、人気のアイランドキッチンとしました。ここは、元々和室だった所。天井が低く、北に位置しているため、ジメジメとした暗さがありました。そこで思い切り天井を崩して梁を出し、自動開閉の天窓を取付けました。そうすることで室内を広く、明るく開放的にすることができました。
和室との調和も良く、家族の居心地の良い団らんの場所となりそうです。

建設地岡山県岡山市東区
構造在来工法
階数二階建て
延床面積115.22㎡
家族構成非公開